writer 齋藤萌
「心地いいおしゃれの見つけ方」をテーマに、自分らしい着こなしやおしゃれのルールを持っている人たちをご紹介しています。
第15回目は、静岡県沼津市にある雑貨店「hal」の店主・後藤由紀子さんです。等身大の日常を綴った書籍や、コラボ商品のプロデュースなど、お店の運営だけに留まらず数々の活動をしている後藤さん。
お店に並んだ作家ものの器やカゴなどが醸し出す穏やかさ、そしてよく風が通り気持ちの良さを感じさせる「hal」は、後藤さんの雰囲気をそのまま体現したかのようなお店です。
今回は、そんな後藤さんらしい世界観を作り出している要素のひとつである「洋服のこだわり」について、お伺いしました。
がんばらない、自分を甘やかすがモットー
「おしゃれは好きなのですが、モットーはがんばらないことなんです。体のラインで気になるところがあっても無理に鍛えることはせず、ダイエットもしない。それよりもそうしたコンプレックスを上手に隠し、自分を甘やかせるコーディーネートを楽しみたいなと思っています」
こうした後藤さんのこだわりを基に作ったのが、fog linen work (フォグリネンワーク)とのコラボワンピースだったそうです。
▲店内にずらりと並んだfog linen workとコラボしたリネンのワンピース。後藤さんが着用しているのもそのうちの一枚
「沼津に戻ってくる前は東京で働いていました。当時は都会にいたことや独身だったこともあって気を張ったファッションをしていたのですが、私の出身地である沼津に帰り、子育てを始め、そして『hal』をオープンしたら、ファッションに時間や手間をかけるのを難しく感じてしまうようになったんです。
また、髪型も手間のかからないショートヘアにしていたから、女性らしさとのバランスも取りたくなり、気づけばワンピースばかり手に取るようになっていました。
ワンピースは上下のコーディネートを考えなくて済む上に、お腹周りも隠してくれるから、とてもラクなアイテムですよね。
fog linen workとのコラボでは、気になる二の腕を隠せるようにしたり、首のあき具合も綺麗に見えるようにしたりなど、コンプレックスを上手に隠せるワンピースを目指しました。そうしたら共感してくれる方が多く、新しい色やパターンを提案し続けて、気づけば40色以上も作っていました」
「色は紺や黒など、ベーシックな色が多かったのですが、年齢を重ねてからは徐々に顔映りを気にするようになりました。そこである日、赤いワンピースに挑戦してみたんです。そうしたらファッションに対して辛口の友達が褒めてくれて。
この出来事をきっかけにfog linen workとのコラボでも赤い生地を使用したワンピースを作りました」
身長のコンプレックスを解消してくれたダンスコ
「153センチしかない身長も、私にとってコンプレックスのひとつです。そんな悩みを解決してくれたのがダンスコでした。身長を足したいと思ってもヒールは疲れてしまうから苦手なんです。けれどこれは5センチの厚底なので、負担を感じずにスタイルアップが叶います。
中でもパテントレザーが使われたPROFESSIONALというシリーズがお気に入り。ナチュラルな素材のコーディネートが多いので、良いアクセントになってくれています」
▲ダンスコのPROFESSIONALお守りがわりに。友だちが作っているアクセサリー
「洋服に限らず、雑貨や生活用品なども、買い物をする時は友人や自分が気に入ったものにお金を払いたいなと思っています。アクセサリーもどれも友人が作ったものや、友人を通して仕入れたものです。
例えばブレスレットはファッションディレクターの岡本敬子さんがデザインしたもの、プレーンのリングは恵比寿にあるSOURCEというお店で扱っているMelissa Joy Manningというデザイナーのもので、パールがついたリングはCarla Carusoのものです。ピアスはshuóのもの」
▲shuóのピアスと、Melissa Joy Manningのリング
「身につけていると頼もしい友人たちの存在も感じられるので、私にとってはお守りがわりのアイテムたちです」
着物とパンツを楽しみたい。後藤さんのこれからのおしゃれ
洋服もアクセサリーも、無理せず自分の心地良さを優先させたもの選びをしている後藤さん。後藤さんの朗らかな雰囲気がどうやって作り出されているのか、秘密を知れたような気がします。
最後に、後藤さんがこれから楽しみたいおしゃれについて、伺いました。
「育児がおわって時間ができたので、今年の4月から着付け教室に通っているんです。私の母が着付けができる人だったので、憧れていて。なので着物を楽しみたいというのが、これからしたいおしゃれです。
そしてもうひとつが、パンツスタイルを楽しむことです。一時期はベリーショートにしていたので、ボーイッシュになりすぎないようにワンピースを好んで着ていました。けれど今は髪が伸びてきたので、今度はパンツに挑戦したいなと思ってるんです。
先日、島根県松江市にあるセレクトショップ『Daja』でホワイトのパンツを購入し、ヨーガンレールではブラックのパンツを注文中です。久しぶりのパンツスタイルですから、これからどんなおしゃれを楽しもうか、ワクワクしています」
撮影・取材・文/齋藤萌
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静岡県沼津市生まれ。2003年に地元の沼津市で器や衣類、書籍を扱う雑貨屋「hal(ハル)」をオープン。『雑貨と私』(サンクチュアリ・パブリッシング)など、ライフスタイルや雑貨にまつわる著書多数。音声メディアvoicyでの発信も行う。Instagram:@gotoyukikodesu
▷halのショップ情報は @halnumazu