第5回 スタイリスト・佐藤かなさん/定番アイテムをうまく取り入れて、気負わずおしゃれを楽しむ

2023/10/12 公開 

第5回 スタイリスト・佐藤かなさん/定番アイテムをうまく取り入れて、気負わずおしゃれを楽しむ

writer 齋藤萌

「心地いいおしゃれの見つけ方」をテーマに、自分らしい着こなしやおしゃれのルールを持っている人たちをご紹介しています。

第5回目は、雑誌や広告で洋服のスタイリングを手がけている佐藤かなさんです。

スタイリストが考えるコーディネートというと、洋服好きならではのハイファッションが頭に浮かぶ方が多いかもしれません。けれどもかなさんの装いは、気負わずシンプル。誰もが着こなしやすい普段着の延長線上にありながら、どこか気が利いていておしゃれです。

今回はそんな思わず真似したくなる、かなさんらしいコーディネートの秘密を伺いました。

手間をかけず、でもおしゃれを楽しめる洋服が好き

「私めんどうくさがりなんです」と、明るく気さくに話しはじめてくれたかなさん。あれこれと重ね着を考えるよりも、1枚で決まる頼もしいワンピースなどが好きだそうです。

「いろいろなアイテムを重ねて素敵に着こなす人もいますが、こうした私の性格からも、そして体型にも、シンプルな装いの方が合うと思っています。

とはいえ着やすさばかりを考えてしまうとカジュアルに寄りすぎてしまい、私の場合少しだらしなく感じてしまう時があるんです。

でも生地やシルエット、合わせるアイテムなどを少し工夫するだけで、楽とおしゃれさの両方が叶うと思っています。

例えばTシャツであれば『艶のある素材』『生地の目が詰まっている』『カットが気が利いている』などを選ぶだけで、洗練された雰囲気に。

その他ボトムスはセンタープレスのものにしたり革のバッグを合わせたりするなど、きちんと感や清潔感を感じられるアイテムをどこかに入れることで、上品さをプラスするようにしています」

何にでも合わせやすいコンバースは、やっぱり定番

なるべく手間をかけたくないという思いから、小物も新しいアイテムに手を出すのではなく、同じものを買い換えることが多いそうです。そんな佐藤さんがずっと愛用しているのが、誰もが知っているコンバース。

「どんな洋服にも合わせやすいコンバースは、私にとっても定番のアイテムです。履きやすい上にいつでも同じものが手に入るため、万が一壊れてしまっても買い足せる点もうれしいですね。

あえてきれいめのボトムスと合わせて外しアイテムとして使ったり、大好きなワンピースにハイカットを合わせたりして着こなしを楽しんでいます」

ワンピースと合わせても決まる、グレゴリーのリュック

同じく定番品として壊れてしまったら直したり買い替えたりして使っているのが、グレゴリーのリュックだそうです。

「アウトドア用のリュックならではの持ちのよさや使い勝手のよさがありつつ、普段着にも合わせやすいデザインが気に入っています。メンズライク過ぎないから、コンバースと同様にワンピースにも合わせやすいんですよ。

また金具が単色のため、洋服がどんなカラーでも気にしなくていいところも使いやすいんです」

差し色としても優秀。ついつい集めてしまうピンク色

決まったアイテムを繰り返し上手に使いこなしているかなさん。そんなかなさんが「これだけはついつい集めてしまう」というのが、見ただけで思わず元気になる、鮮やかなピンク色のアイテムたちです。

「20年くらい前からピンク色にはまってしまい、見つけると思わず買ってしまいます。薄いピンク色も好きですが、ガーリーな印象が強いので私の雰囲気には合わないんです。けれども濃いめのピンクなら私でも取り入れやすいと感じています」

「装いがシンプルでも、このピンクを取り入れるだけで差し色が加わり垢抜けて見えるなぁと思いますね。さらに顔色も明るくしてくれる、大好きな色です」

無理して続かないよりも、気負わず自分らしく

定番のアイテムを決めていたり、一着で決まるアイテムを使ったり、背伸びせずに上手におしゃれを楽しんでいる佐藤かなさん。

こうした洋服選びができるのは、かなさんが自分をよく知り「無理をしない」という選択をしているからかもしれません。

「素材が肌に合わなかったり、ポケットがついていないなど機能が自分に合わなかったりするだけで、ついつい着なくなってしまうんです。アクセサリーも、手を洗うときに外すのを手間に感じてしまうので時々しか身につけません。

とにかく日々面倒に感じなかったり、嫌だなと思うポイントがないことが、私にとってはとても重要なんです。

どこにでもありそうな何気ないアイテムでも、丈やシルエットなど、ちょっとしたことに気を遣うだけでおしゃれは楽しめると思っています。

気負わず気持ちよく過ごしながら、今後も自分に合ったおしゃれを楽しみたいです」

撮影・取材・文/齋藤萌

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プロフィール

佐藤かな (さとうかな)

スタイリスト

明治学院大学フランス文学科卒業後、スタイリストの道へ。『リンネル』をはじめ雑誌や広告、書籍などを中心に活躍中。自身のカジュアルで気負わない私服スナップも大人気。長年の趣味が高じ、『KANA’S STANDARD』(文化社出版局)など、裁縫に関する著書も多数出版している。
Instagram:@ kaaana75

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