writer 石川理恵
人それぞれの「自然とのつながり」をテーマに、この連載ではベランダや庭のあるお家を訪ねます。
第2回目は、オンラインコミュニティ「ノートと種まき」を運営し、絵描き、詩人でもあるMayamoon(マヤムーン)さんを取材。
マンション住まいながらも、自然の恵みをいっぱい受け取る暮らしぶりをのぞいてきました。
マンションの庭から、季節の移ろいを感じる暮らし
▲マヤムーンさんの庭は、DIYした木のレイズベッド(イギリス式の花壇)がナチュラルで大らかな雰囲気。
若草色のクリスマスローズ、甘い香りのスイセン、バスケットに寄せ植えた愛らしいビオラやパンジーたち。春の花々で彩られた庭は、ここから初夏に向かってたくさんのハーブが育ち、梅雨には生垣のカシワバアジサイが青紫の色をつけ、夏にはフウセンカズラがつるを伸ばすのだそうです。
こうして庭に四季折々の花を植えることを、マヤムーンさんは「自分へのギフト」だといいます。
「私には、旬をたのしみたい気持ちがあります。季節になって花が咲くのは自分の心がよろこぶことだから、前もって種をまいたりするのは、未来の自分のためのギフト。そろそろかなって、花が咲くのを待つ時間さえもうれしいんです」
できる範囲の自給自足をたのしみたい
▲窓辺のハーブはディル、イタリアンパセリ、セージの苗。ここから摘んで料理に使いつつ、もう少し大きく育ったら庭に植え替えます。
▲庭の月桂樹の葉は、雑貨ショップで見つけたワイヤーのフックでつるし、乾燥させてローリエに。庭の花々を摘み、ブーケにして友だちにプレゼントすることも。
10年ほど前に、マヤムーンさんは市民農園を借りて畑をはじめました。
その頃より、ベランダで花も育てていましたが、もっと植物を身近に暮らしたくなって、現在の庭のあるマンションへ引っ越したそうです。「できれば花も自給したい」と話すマヤムーンさん。
「とはいえ、庭にすごく手を掛けているわけでもなく、なるべく自然任せです。だからだいぶ淘汰されていて、多年草が多いからラクなんですよ。冬はハーブがいなくなるのに、季節になるとまたひょっこり生えてきたりして。うれしくて思わず『お帰り!』と声をかけちゃいます(笑)」
庭のハーブは乾燥させてハーブティに。畑の野菜は保存食に。畑のすみにたくさん咲くドクダミでは化粧水を作ります。
自然の恵みは、心も体も整えてくれるもの。そして、「自分が使えるように」と手を動かすのは、何よりのセルフケアでもあるのです。
▲左の瓶はドクダミの葉を、右の瓶は花だけをアルコールにつけたもの。アトマイザーに分けて好みのアロマオイルを加え、化粧水に。詳しい作り方はYouTubeで公開しています。
▲実家の桜の塩漬け、畑で収穫した玉ねぎのドレッシング、赤だいこんのピクルスなど、身近な材料で保存食作り。醤油麹、塩麹などの発酵食品も常備しています。
▲畑のビーツとさつまいもを使ったキッシュ、自家製ハーブペーストを使った鶏ハムなど、家にあるもので豊かなランチが作れます。撮影/川しま ゆうこ
取材・文/石川理恵
- プロフィール
子どもの不登校をきっかけに自分を見つめ直し、絵描き、詩人として表現を続ける。オンラインコミュニティ「ノートと種まき」を運営するほか、ワークショップ講師として活動。ナチュらぎにてお庭日記「緑が伝えてくれること」連載中。instagram:@mayamoon0000