writer 石川理恵
卒業式や入学式、発表会などのハレの日に、どんなおしゃれをたのしんでいますか?
花生師・岡本典子さんが提案するのは、花をアクセサリーのように身につけること。インテリアに花を飾ると空間がガラリと変わるように、花を身につけると人の表情がとたんにイキイキと華やぐのです。
今回、コサージュよりも手軽につくれる「花バンド」のレシピを紹介します。自分のために、また、誰かへのお祝いのプレゼントに、手を動かしてみましょう。
アクセサリーにも、インテリアにもなる「花バンド」
「花バンド」は、リボンに花をつけたもの。もともとはインテリアのアイテムとして、キャンドルに巻くためにつくったのがはじまりでした。
やがて手首に巻いてリストバンドにしたり、ヘアバンドにしたり、帽子に巻いてみたりするようになり、「身につける花」としてのたのしみ方が広がったのです。
慣れれば5分で完成。肝心なのは花選びです
▲写真中央はエリンジューム(青)、右上はケイトウ(ピンク)、時計回りにイモーテル(黄色)、アナベル、チランジア、ピンクペッパー、スターチス、エバーラスティング。用意する材料は、リボンと、好みの花。生花を使うとつくりやすく、ドライフラワーを使うと長持ちさせやすくなります。その日だけのためならばフレッシュな生花で、長くたのしみたいならセミドライ程度に乾かした花でつくってみてください。
今回は、ドライフラワーを7種類ほど用意しました。
動きが出るチランジアと、何らかの実もの(今回はピンクペッパー)は、入るとグッとおしゃれになるマストな花材。また、イモーテル、エバーラスティングのように、時間がたっても色がくすみにくい花材もおすすめです。
リボンの長さは、リストバンドなら40〜50cm、帽子に巻きつけるときは1m20cmぐらいなど、使い方によって調整しています。太いリボンは好みのものが手に入りにくいので、コットンやリネンの布を裂いて、リボン代わりにすることもあります。
道具は、花をカットするハサミと、花をリボンにつけるグルーガンを用意。グルーガンは100円ショップでも手に入ります。
つくり方を追っていきましょう
①リボン(5cm幅×40〜50cm長さ)は、半分に折って中央の位置を確認し、目印に折り目をつける。
②リボンの中心にチランジアをのせる。手首の幅より広くならない範囲におさめる(今回は5cm幅程度)。
③花は枝を切り落とし、グルーガンでリボンに固定する。以降、繰り返す。
※チランジアは、ほかの花をグルーガンで接着することにより一緒に固定される。最後に確認する際に、固定されてない部分だけにグルーガンをとめればよい。
☆ポイント1
途中でリボンを持ち上げ、手首に巻いたときにすき間ができないように確認しながら、立体的に盛り付けていく。
☆ポイント2
エリンジュームのようにとがった花は、手首にあたると痛いので、リボンの中央につけるように。
④最後にすべての花材が接着されているかどうかを確認。固定されてない部分をグルーガンで補強したら、完成です。
シンプルな服も、花バンドをつければ特別感のある装いに
袖のフリルがアクセントの、黒いリネンワンピース。普段着でも気に入りの一着が、花バンドをつけたら、いっきに鮮やかな雰囲気になりました。花を身につけると気分が高まるようで、誰もがとてもうれしそうな表情になります。
花材、リボンの組み合わせで変化をたのしむ
もうひとつ、細いリボンで小ぶりな花バンドをつくりました。控えめな中にもアクセントが欲しくて、リボンを2本重ねることに。
少ない花数の中で目指したのは、ちょっぴりスパイスの効いた大人のかわいらしさです。リボンや花の組み合わせ方によってニュアンスが変わるのが、花バンドの奥深さ。
ワークショップなどでも花バンドをつくることがありますが、どなたがつくってもサマになる仕上がりになり、みなさんうれしそうに持ち帰られます。ヘアバンドにするとより表情が輝き出すので、大人も子どももぜひ試してみてくださいね。
白いブラウスに花バンドを組み合わせたら、シンプルな一着が凛とした装いになりました。セルリアの花の艶やかさとクラスペディアの発色が美しく、手元で静かに主張しています。この上質さは、本物の花を身につけているからこそかもしれません。
ハレの日の装いに、手づくりの花バンドを。
花の持つ自然の力が、特別なおしゃれに引き上げてくれます。
撮影/安永ケンタウロス
スタイリング/岡本典子
聞き手・文/石川理恵
- プロフィール
植物をこよなく愛し、メディアや広告、展示会などで植物を通した表現を手がけるほか、アトリエ「Tiny N」を不定期オープン。著書に『花生師 岡本典子の花仕事』(誠文堂新光社)、『花生活のたね』(エクスナレッジ)など。instagram:@hanaikeshi
石川理恵 (いしかわりえ)
編集者・ライター
雑誌や書籍でインタビューを手がける。著書に『時代の変わり目をやわらかく生きる』(技術評論社)、『自分に還る 50 代の暮らしと仕事』(PHP 研究所)他。東京・豊島区のアパートの一室に、小さな週末本屋をオープン。instagram:@rie_hiyocomame