ケータリング&民泊運営・伊藤千桃さん/年代物の引き出しを組み合わせ、愛着持てるワードローブに

2025/04/28 公開 

ケータリング&民泊運営・伊藤千桃さん/年代物の引き出しを組み合わせ、愛着持てるワードローブに

writer 石川理恵

おしゃれの舞台裏であるクローゼットを拝見しながら、服づきあいについてうかがう企画。第5回は、「桃花源(とうかげん)」の屋号でケータリングや民泊を営む、伊藤千桃(いとうちもも)さんの家を訪ねました。

衣装ケースなどは使わず、あるもので身軽に収納

▲広いお庭と離れのある一軒家に、娘さん家族と愛犬と暮らしています。


「クローゼットがないから、収納にはいつも困っています。でも、わざわざ買ったりしないで、あるもので考えたいんです」

そう話す伊藤さんのお部屋には、上着類をかける小さなラックと、オンシーズンの服をたたんでいる和ダンスがありました。

その上には、アクセサリーや小物をしまっている小引き出しがふたつ並んでいます。

▲和ダンスも小引き出しも、50年来の愛用品です。


オフシーズンの服や出番の少ない服は、ふろしきに包んだり、旅行用のボストンバッグやトランクケースに収納したりして、部屋のすみへ重ねるだけに。

ふろしきもバッグもヒョイッと持ち上げやすいものだから、「しょっちゅう衣替えをしている」という伊藤さんには、扱いやすいのだそうです。

▲上着類をかけるラックと、オフシーズンの服を並べたコーナー。右側の油単(布カバー)をかけたタンスには、和服を収納。

▲あるもので柔軟に、収納方法を考えています。中国の骨董品の棚を、お出かけ用の靴箱代わりに。

自宅洗いとアイロンがけで、大切な服をリフレッシュ


日々の料理、お菓子づくり、庭仕事など、自らの手を動かし、暮らしを楽しんでいる伊藤さんは、服もクリーニングに出すことはほとんどなく、ダウンやセーター、スーツまでも自宅で洗濯しています。

「いまどきの洗濯機は性能がいいから、水の量を多めにして、おしゃれ着用の洗剤で洗います。ダウンを洗うと水が黒くなって、汚れが落ちたことを実感してさっぱりします。

セーターは、仕上げに洗濯のりのスプレーをかけてアイロンがけをすると、きれいに生き返るんですよ。この前は、型崩れした帽子も、のりスプレーしてアイロンをかけたらピシッとなりました」

▲ダイニングテーブルにマットをしいてアイロンがけ。「娘には、年中アイロンかけているわね、と言われます(笑)」

▲アイロン、マット、洗濯のりのスプレーをカゴにセットし、すぐかけられるように。

あまり買わないからこそ、買うときは大胆に!


「ビビッときたものしか買わない」という伊藤さんの手元にあるのは、20年、30年と長く大切に着ている服ばかり。

「そもそもあまり買い物をしないので、出合ったら『10年は着る!』というつもりで、高くても奮発します。だから、ひとつ買えばしばらくは大満足です。いまあるものを手放したら二度と手に入れられないから、壊れたバッグも使っているし、穴のあいた服も自己流に布用ボンドで直したりしながら着続けています」

▲大切に使い続けているアクセサリー。右のペンダントは50年前に香港で買ったもの。


▲おなじみの服に、スカーフや帽子などの小物を合わせて、コーディネートに変化をつけます。

おしゃれも収納も、自己流がいちばん


おしゃれで大切にしているのは、TPOを楽しむこと。

「家にいるとき、旅行に出かけるとき、それぞれにそれなりのスタイルがあります。『あそこに行くから、この服が着られる』と思うのは、とてもわくわくします。

最近、シルバーで光沢のあるスカートを買ったんです。ふだん着にするにはすごく派手。でも、旅先なら着られるかなあって、何を合わせようか考えています」

自分のものさしを持ち、工夫を楽しむ伊藤さん。服選びやその着こなし、収納方法までも、オリジナリティがいっぱいでした。

▲笑顔がすてきな伊藤さんが使っているのは自家製化粧水。「庭にある植物でつくれる! と知ったときにはうれしくて」。秋から冬にかけてはびわの葉、春から夏にかけてはどくだみ、ゆずの種、すぎなを材料にしています。

▲家のスタイル。比較的新入りのデニムサロペットに、30年着ている「ヨウジヤマモト」のローブをはおって。

▲お出かけのスタイル。20年前に買った「マックスマーラ」のワンピースに、色のきれいさに惹かれた「トリッペン」のブーツを合わせて軽やかに。

撮影/砂原文
取材・文/石川理恵

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プロフィール

伊藤千桃(いとうちもも)

ケータリング&民泊運営

1950年ジャカルタ生まれ、1972年度ミス日本、元女優。神奈川県葉山町で自宅カフェ「桃花源」を営み、地野菜を使った料理で人気に。現在は娘とともにケータリング、弁当デリバリー、古民家でのバーベキューサービスや民泊を運営するほか、オンラインショップにて自家製薬草ブレンド茶、無農薬栽培のフルーツを使ったパン、焼き菓子などを販売している。著書は『千桃流・暮らしの知恵』(主婦の友社)。Instagram:@toukagenhayama

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