writer NATULAGI編集部
自分らしいスタイルで日々を楽しむ人の「髪とおしゃれ」にまつわるお話。
第2回目に登場するのは、山村ヒロミさんです。
生まれ育った山口県長門市でカフェや雑貨店を経営された後、56歳で初めての上京を経験。5年経った現在も、東京での暮らしを継続中です。
トレードマークだったパーマヘアから、つい最近ヘアスタイルに変化があった山村さんに、お話をうかがいました。
アシンメトリー&サイドは刈り上げ!61歳の新ヘア
山村さんの新しい髪型は、約2年続けたパーマのなごりを活かしたショートボブ。
サイドの内側は刈り上げているのでアップにすると違った表情に変化。アシンメトリーなバランスも、新鮮な印象に一役買っています。
「慎重に石橋を叩いてというよりも、タイミングが合えば、流れにさくっと乗るタイプなんです」と笑う山村さん。
今回の新しいヘアスタイルも、偶然がきっかけになったそうです。
「パーマヘアをやめるつもりはなかったのですが、予定していた長めのアメリカ旅行にむけて、パーマをかけるのを出発の前まで先延ばしにしていたら、『逆にこの方がラクでいいかも!』と気づいて。残っているパーマを活かしたヘアにしてもらいました」
上京以来、山村さんの髪を担当するのは、ヘアサロン「TWIGGY.」の松浦美穂さん。
▲「オイルを手でさっとつけるだけで毛先がいい具合に遊ぶので、セットいらずなんです」 「松浦さんにはいつも刺激をもらっています。今回も、アシンメトリーなんて私がしていいの?と聞いたら『大丈夫、大丈夫!』って(笑)。
松浦さんいわく、私にはちょっとエッジの効いた髪型がいいみたい。私のしたいことや、髪質やクセも全部わかったうえで、思いもしなかったような新しい提案をしてくれるんです」
山村さんの髪型遍歴/カラー未経験のショート時代~50代後半で初めてのパーマにチャレンジ
50代後半からの上京や転職と、刺激に満ちた暮らしをおくる山村さんですが、じつはヘアスタイルについては、長い間変化がなかったそうです。
「カラーもパーマも、人生で一度もしたことがなかったんです。ずっとショートヘア。白髪は30代から出てきましたが、染めようと思ったこともなかったですね。
実家は旅館で、女将だった母はお着物を着て髪もしっかり染めていました。でもカラーのダメージからかだんだん髪が細くなり、『毛染めはせんほうがいいよ』と聞かされていたので、そんな母の影響もあったかもしれません」
長く続いたショートヘア時代
▲左:きれいめなスタイルもショートだといいバランスに。 右:マニッシュな着こなしがショートヘアに映える。(写真提供:山村ヒロミさん)
56歳で上京するきっかけとなった表参道のグロサリーストア「eatrip soil」の店長退職を機に、気持ち的にもイメージチェンジしたいと思った山村さんは、人生初のパーマヘアにチャレンジします。
「いつまで東京にいるかもわからないし、せっかく松浦さんというすばらしい方に担当してもらっているので。知り合いにアフロヘアの男性がいて『あんな感じがいいな』と松浦さんに相談したところ、やってみよう! となりました。これもタイミングですね。
かけてみたら思いのほか評判がよくて。あんなにずーっとショートヘアだったのに、みんなもう忘れて『くしゅくしゅパーマのヒロミさん』みたいなイメージが定着して(笑)自分でもショートだったのを忘れるぐらいでした」
50代後半で人生初のパーマヘアに
▲店長を辞めた後は、縁がつながり、アルバイトを掛け持ちする自由業へ。(写真提供:山村ヒロミさん)
パーマヘアになり、似合うものにも変化があったそうです。
「ファッションはベーシックが好きというのは、昔から変わりません。その中でも、ショートヘア時代は、細身のデニムやシャツ、革ジャンなど、マニッシュな雰囲気が好みでした。
でもパーマをかけたら細身のパンツとのバランスがしっくりこなくなって、ボトムスはワイドで、遊び要素が多めの着こなしが似合うように。ちょっとふざけた感じを楽しんでいました」
では、今回の新しいヘアスタイルは、どんなおしゃれを楽しむ予定なのでしょうか?
タキシードパンツをあえて崩して。新しい髪型で楽しむおしゃれ
「ちょっとハンサムで、きれいな感じのアイテムが気になります」と山村さん。今日穿いているのは、アメリカのヴィンテージショップでみつけたタキシードパンツです。
▲遊び心を添える眼鏡型のネックレスは、リーディンググラスとしての実用性もあります。
▲右裾だけ多めにロールアップして、裾からのぞく赤い靴下をポイントに。 「タキシードパンツのようなシリアスな雰囲気のアイテムを、少し崩してカジュアルに着る。そんな“アンバランス”を楽しみたいです」
愛用の眼鏡とヘアケア用品をご紹介
▲ほとんどの眼鏡は地元・山口の「ポテトメガネ」で購入。「メンテナンスやレンズの入れ替えなども親身に対応してくれる、相性のいい眼鏡屋さんとの出会いが眼鏡のおしゃれを楽しくしてくれます」愛用の眼鏡コレクションも見せていただきました。個性的なデザインがずらり。「今日のコーディネートにはこれかな」と、着こなしの微調整は眼鏡で。
▲ヘアサロン「TWIGGY.」がプロディースするスカルプケアシリーズがお気に入り。左:EPICUREAN ヘアクレンジング クレイ、右:TWI スカルプセラム
▲左:余[yo]のシャンプー・余白2 は、パウチで購入し、小分けのボトルに入れて使用。 右:パルセイユ ヘアスタイリングミルクは、シャンプー後の保湿に。 「シャンプー前に頭皮のケアをするようになり、パサつきにくくなってきたなと効果を実感しているところです。頭皮用のブラシでマッサージして毛穴の汚れを落とし、シャンプー後は乳液タイプのトリートメントをつけて乾かしています。
この髪型になってからは、セットはヘアオイルを手ぐしでつけるだけ。香りのいいyes.のオイルは髪はもちろん、全身につけられて、旅行のときにも重宝しています」
▲yes.のボディオイル どんなことも、いい選択だったと思えるように
新しい髪型で笑顔をみせる山村さんからは、迷いや後悔を感じません。
「自分がした決断を、後から『こうしなきゃよかった』って思いたくないたちなんだと思います。
30年前、山口で最初にカフェを始めるとき、景色が気に入って決めた場所が、まだ道もできていないような本当の山の中だったんです。こんなところに誰が来るんだって、家族はもちろん、まわりの人みんなに反対されました。
でも自分の選択を信じたくて。最初はもちろん苦労したんですけどね。うまくいくために、じゃあ何ができるかな、どうしたら人が来てくれるのかなと、よかったと思えるための努力はたくさんしました」
そのカフェは絶景カフェとして人気店となり、現在は息子さんが経営を継いでいます。
最近の活動の中心は、友人3人で立ち上げた「i 計画室(イ・ケイカクシツ)」です。
「i 計画室は、“なんか好きを大切に、楽しみと喜びをカタチにする”プロジェクト。
今はちょうど、年末のチャリティーイベントを企画中です。私も含め、それぞれに別の仕事も持っている3人が集まって、どんなことができるか模索しています。これまでの経験を活かして、人と人とをつなぐ役割になれたらと思っているんです」
アルバイトの掛け持ちは継続しつつも、新たな活動の軸が見えはじめた山村さん。
新しい髪型で暮らす、自由で軽やかな道はつづいていきます。
撮影/河合信幸
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- プロフィール
山村ヒロミ (やまむらひろみ)
「i 計画室」主宰
山口県長門市生まれ。長門市でカフェや雑貨屋を営み、56歳で単身上京する。グロサリーストア「eatrip soil」の初代店長。現在は、洋食店や帽子ブランドのアルバイトを掛け持ちしつつ、事業支援プロジェクト「i 計画室」の活動もスタート。@epiphanie