ヘアメイクアーティスト・山本浩未さん/ヘナカラーとマッシュヘアがトレードマーク。60代のキレイは素材を活かして

2025/06/26 公開 

ヘアメイクアーティスト・山本浩未さん/ヘナカラーとマッシュヘアがトレードマーク。60代のキレイは素材を活かして

writer NATULAGI編集部

これまで数多くの人のキレイを引き出してきたヘアメイク界の第一人者、山本浩未(やまもとひろみ)さん。

昨年出版した著書では、自身の切実な白髪問題なども赤裸々に語られ、同じ悩みをかかえる多くの女性たちの共感と反響を呼びました。

今回は、今年越してきたばかりというご自宅におじゃまして、山本さんの髪とおしゃれにまつわるお話をうかがってきました。

ツヤ髪の秘訣はヘナカラー

▲海外のアパルトマンのような壁紙の色や家具はすべて大家さんのものだそう。「前の家とは全く違うインテリアで、毎日新鮮な気持ちになるんです」

山本さんといえば、ツヤツヤの赤い髪色と、マッシュヘアが印象的です。

「15年くらい前、40代前半の頃かな。美容師さんがある日、この丸いシルエットをつくってくれたんです。そしたらびっくりするくらい評判がよくて、それから私の髪型のベースは、ずっとこのマッシュヘアです」

「カラーはヘナで染めています。この髪型になったのと同じくらいの時期だから、もう15年ですね。

ヘナにした理由は、とにかく髪にツヤがほしかったから。

友人の髪がツヤツヤで、聞いたらヘナで染めているというので、教えてくれたサロンに行ってみたのがはじまりです。

これもまた評判がよくて。独特の赤みが私の顔色をきれいに見せてくれて、ツヤもアップ。大満足でした」

ヘナのデメリットとして、時間がかかること、髪色が簡単に変えられないことがあげられがちですが、その点も山本さんは問題なく過ごしているそう。

「担当の美容師さんがとにかくヘナオタクで(笑)、薬剤もやり方も、ものすごく研究されているんです。たしかに時間は通常のカラーよりかかりますが、昔より短縮してくれて、今は大体3時間くらい。

色に変化がほしくなったら、私は裾の内側だけブリーチをしているので、インナーカラーで新鮮さを出すようにしています」

自宅メンテナンスでキレイをキープ

えり足からのぞくインナーカラーは、なんと、ご自宅でセルフブリーチをしているとのこと!

「5、6年前から自分でやっています。最近の市販のブリーチ剤ってすごく進化しているんですよ」と山本さん。

「昔はブリーチするのはヤンキーかタカラジェンヌくらいと思っていたのが、気づいたらおしゃれな人がみんなブリーチしていたので気になっていたんです。やってみたらこれも大正解でした。ピンクやイエロー、ブルーと、色を変えて遊べて楽しい!

えり足だから失敗しても目立たないし、伸びてきても見えにくいのでセルフでも気軽にできて、意外と簡単。これ、大人の方にすごくおすすめです」

▲左から、クイーンオブ石垣 ヘナ(uka)/メガメガブリーチ(フレッシュライト)/ヘナカラーセットダークブラウン(みんなでみらいを)/カラートリートメント(サイオス)「約1カ月半ごとに美容室でヘナをして、間の期間は根本を中心にセルフメンテナンスしています」

自分らしいトレードマークの見つけ方

赤い色のマッシュヘアは15年以上、山本さんのトレードマークです。

「トレードマークってあるといいですよ。自分の体や顔に合っていて、それを活かしてくれるトレードマークがあると、生活もおしゃれもラクになります。

遠くからでも私って気づいてもらえたり、人にすぐ覚えてもらえたりというメリットもありますね。反対に覚えられて困るときもあるけど(笑)」

自分に似合うものがなかなかみつけられない、という場合はどうしたらいいのでしょうか?

「一番は自分を『よく見る』ことです。それも立体でよく観察すること。

美容師さんも、私たちヘアメイクも、360度立体で人を見ますよね。だけど、自分の顔ってなかなか立体で見る人は少ないんです。

きれいな人はみんな、鏡をよく見て姿勢を整えたり表情を研究していたり。それを知りながらも、昔は私も『そんなこと自分にはできない』って思っていたんですよ。

でもね、いろいろなものが型崩れしてくる私たち大人世代にとって、鏡をしっかり見るというのが、じつはものすごく大切」

▲髪型のチェックは必ず合わせ鏡で行います。

「メイクもそうですが、髪も、正面だけ見たらいいけど、横や後ろを見たらここが潰れているとか、髪のクセとかも分かるじゃないですか。

トレードマークのような自分に似合うものも、まずは立体を意識しながら自分をよく観察することで、みえてくるものがあると思います」

「乾かす・とかす」日々の心がけでキレイを効率化

▲毎日使うスタイリング剤やグッズはバッグにまとめてサニタリールームに。

ヘアケアというと、シャンプーやトリートメントなどが重要視されがちですが、‟乾かし方“もかなり大事なポイントなのだそう。

「私の場合、前髪はすとんと下ろしたいから、前髪は最初に乾かして形を決めておく。ボリュームがほしい部分はドライヤーを持ちかえながら、いろいろな方向から風をあてる。そうすると、乾かすだけである程度整うので、ブローの手間が減るんです。

乾かす作業って、ついなんとなくになりがちですが、効率を考えて工夫すると、時短になったり、その後の面倒が少なくなったり。美容も家事と同じです」

▲イオン入りや風が横から出るものなど、進化がめざましいドライヤーは、「少し高くても髪の変化を実感しやすいから、費用対効果が高いんです」と山本さん。

日々の習慣のもうひとつ、ブラッシングも意識的に。目的を明確にして、頭皮マッサージ用・つや出し用・乾かすとき用など、用途ごとに適したアイテムを使うようにしています。

「マッサージ用ブラシは、手でするよりラクで気持ちいいし、乾かすときも専用のブラシを使うと早く乾くんですよ」

▲一番奥、気軽にマッサージできる最近のお気に入りのスカルプブラシ(MAPEPE)/中央、乾かす時に使っているホグレール ヘアブラシ(HAHONICO)は、通気性がよく頭の形にフィット。/手前、スカルプカッサコーム(TWIGGY)はとかすだけでツヤツヤ髪に。

60代、持っているものでベストを尽くす

▲ユニクロで購入した同素材のシャツとパンツをセットアップで。ハリのある生地で、きれいなラインが出るところがお気に入り。

「先ほどもお話ししたのですが、大人って体のラインも顔も、とにかく型崩れしてくるんです。大体50歳前後から始まって、50代後半になると、型崩れが半端ないんですよ(笑)

そんな中でもきれいな印象を保つためには、崩れてしまう分、きれいな形をどこかにちゃんとつくることが必要。だから、‟形“をつくることができる髪って、やっぱり大切な要素だなって思います」

「自分の素材って変えられないから、もう活かすしかないんですよね。そのためには、いろんな方向から見て客観視する。そして無意識じゃなくて意識的に、素材をケアすることも大事。

『自分を知って、持っているものでベストを尽くす』、私は50代でそれに気づいてから、気持ちがとてもラクになりました。

髪もおしゃれも、メイクだって、自分が居心地よくいられるスタイルが一番です」

撮影/菊地和歌子

プロフィール

山本浩未 (やまもとひろみ)

ヘアメイクアーティスト

広島県出身。高校卒業後、資生堂美容学校に入学。卒業後、資生堂ビューティークリエーション研究室でヘアメイクとしての仕事をスタート。1992年よりフリーランスに。コロナ過で始めた、自身のリアルな美容法を紹介するインスタライブも人気。近著に『60歳ひとりぐらし毎日楽しい理由』(小学館)がある。Instagram:@hiromicoy

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