writer 石川理恵
新月は、気持ちをあらたにする日。
ふだんは時間に追われがちな人も、この日ばかりは自分のために花を飾ってみませんか。植物の力がきっとやすらぎをあたえてくれます。
ここは新月だけオープンする小さな花屋。
店主・岡本典子が季節の花を並べてお待ちしています。
春の花のやわらかさ、みずみずしさを感じてみる
▲写真右からギリア、ナデシコ、チューリップ、スプレーのチューリップ、下の黄色い花はクスダマツメクサ、上の紫の花はヤグルマギク(ブラックボール)、ラケナリア、ラナンキュラス。草木が芽吹き、花のつぼみがほころんで、待ち遠しかった春の訪れを感じるこの頃。
市場で出合った花たちも生命力にあふれ、外に出たくてうずうずしている自分の体とリンクするようです。
春の花は茎のやわらかいものが多く、そのみずみずしさを感じるだけでも「春はいいなあ」とうれしくなります。
まずは1本をじっくり味わう。それだけで気分が変わります
部屋のどこかに、1本の花を飾ってみる。
するとその場の雰囲気が、生き生きするのを感じます。まずは1本の花に向き合うだけで、豊かな気持ちになれるもの。
春になるとたくさんの種類が店先を彩るラナンキュラスから、今日の私は、枝分かれしたスプレー咲きのラックスを選んでみました。
やわらかくてフェミニンな花びらは、よく見るとツヤツヤとした質感を持っていて、多面的な大人っぽさに惹かれたのです。
ほころんだつぼみがこれから咲いていくのだなあと思うと、春からの新生活にも希望が持てるような気がしました。
みなさんは、どんな1本を選びますか。その花選びそのものがやすらいだ時間になることを祈りつつ、また来月、新月の日にお会いできるのを楽しみにしています。
撮影/安永ケンタウロス
スタイリング/岡本典子
聞き手・文/石川理恵
- プロフィール
岡本典子 (おかもとのりこ)
花生師 ハナイケシ
植物をこよなく愛し、メディアや広告、展示会などで植物を通した表現を手がけるほか、アトリエ「Tiny N」を不定期オープン。著書に『花生師 岡本典子の花仕事』(誠文堂新光社)、『花生活のたね』(エクスナレッジ)など。instagram:@hanaikeshi
石川理恵 (いしかわりえ)
編集者・ライター
雑誌や書籍でインタビューを手がける。著書に『時代の変わり目をやわらかく生きる』(技術評論社)、『自分に還る 50 代の暮らしと仕事』(PHP 研究所)他。東京・豊島区のアパートの一室に、小さな週末本屋をオープン。instagram:@rie_hiyocomame